神堂 潤

レギウムにジャッカルがある様に、ドラグノフにはコブラがある。
第3軍に合流したミルズ達の最初の戦闘は、ドラグノフ軍の攻勢を市街地に誘い込んで殲滅する事。
市街地戦闘は機甲戦力の優位性を著しく低下させ、逆により隠蔽製の高い歩兵やSAAが戦場のヘゲモニーを握る存在となります。
しかし敵も当然その事は承知しており、戦場となるテスミラ市街にはドラグノフの誇る精鋭SAA特殊部隊COBRAが投入されていた――。
強大な国力と物量を背景にしたドラグノフの場合レギウムと違って少数精鋭に走る必然性は低く、結果として特殊部隊であるコブラも部隊としての総合的な戦闘力はジャッカルに比べると幾分落ちると思われます。
それは配備されているSAAからしてもそうで、1巻冒頭で描かれたレギウム戦役当時のジャッカルがかなり重装化されたSAAを使用していたのに対して、コブラに配備されているSAAは通常型のバルメを多少カスタムした程度のシロモノ。
また、運用に関してもジャッカルが対戦車戦闘から市街戦に至るまで想定しているのに対して、コブラは市街戦に特化しています。同じ特殊部隊でも運用思想に大きな違いがあるので、部隊としての単純比較は慎むべきなのかもしれません。
ただし、コブラ隊長カール・シュワンツ個人に関しては並のジャッカル隊員以上の兵士である事は間違いなく、弾避けから壁走りに至るまで、ハリウッド映画ばりの超人アクションを披露してくれます。
この超人に抵抗できるのは、ミルズしかいない!って事で、5巻はカールとミルズと言う規格外人間同士の決闘がメイン。
超人同士の戦闘は、お互いのSAAすら惜しげもなく囮として使い捨て、最終的には生身同士の格闘戦にまで至るのが実に映画的ケレン味に溢れていて痛快です。
4巻では戦闘の凄惨さをこれでもかと描いておいて、5巻では紳士的な敵とのタイマンガチバトル。
この大胆な緩急の付け方が作品の魅力なのかも知れません。
しかし相手の放った拳銃弾を自らの銃の銃身に当てて弾を弾くとは、ミルズはどんだけ化け物なのか。
拳銃弾とは言え命中角度によっては銃そのもののフレームを歪ませて動作に支障をきたさせる程度のパワーは充分にあります。
なのに弾いた後、銃の確認すらせずに即座に反撃に出たと言う事は、命中角度も計算して弾いたと言う事か。
後の巻で発揮される彼の超人ぶりの片鱗が伺えます。
…とまあ、ミルズは強敵と合間見えれて活き活きとしていますが、一方で前座扱いとなったレイニーが哀れ。
もともとお人好しキャラとは言え、初登場の頃の冷徹さはどこに消えたのでしょうか。
★レッドアイズ 4巻感想
タグ:神堂潤




