新谷 かおる

新谷かおるが描く戦争秘話第2章。
1巻の感想でも触れた、ロマンと銘打ちながらもその実痛烈な皮肉になっていてどこがロマンなんだと言いたくなる話は今回も健在です。
特に自らの両腕を奪ったソ連戦車兵に対して復讐の念を燃やす急降下爆撃機パイロットのウォルフガング・ミッターマイヤーを描いた「復讐の急降下」は、ミッターマイヤー自身もまた別の人間に復讐の対象にされていて、最後はその者の手によって引き起こしの利かない急降下爆撃機に乗らされ死のダイブを行う事になる実に後味の悪い物語。
自らを悲劇の主人公に据えて報復を誓うミッターマイヤー自身はある種のロマンを感じているのかも知れませんが、物語全体を俯瞰できる読者の目からすると、すぐ隣で彼の命を狙う復讐者が静かに牙を研いでいるのにも全く気付かず、悲劇に酔い激情に身を焦がす姿はひたすら厄いだけです。
ちなみにこの話に登場する名称不明の実験機ですが、イギリスのウエストランド・ワイバーンの胴体にJu-87の主翼を取り付けたようなゲテモノ機。なぜか塗装もペンギン塗装っぽいのはご愛嬌w
しかし何と言っても2巻最大の目玉は、ジャック、リー、ロッキーの愉快な米軍パイロット3人組が非武装の輸送機でFw190に立ち向かう「戦略輸送333」と、彼らが太平洋戦線でB-25に乗っていた当時を描いた「Oh ラッキーガール」でしょう。
ロマンと言うにはコミカルな内容ですが、そうであるが故に厄さも無い。
かなり無茶な展開ですが、なにぶん愉快なアメ公のする事なのでなぜか許せてしまう。
作者自身この3人組が余程気に入ったのか、後の巻でも様々な任務が描かれ、最後は独軍のV2ロケット秘密工場を破壊すると言う大戦果まで挙げる事になります。
ここまで来るともう愛ですよね。愛。
良くも悪くもハリウッド映画的と言えますが、辛気臭いドイツ人の話が多い中ではこういうわかり易く痛快な話は貴重です。
戦争の持つロマンのひとつに英雄物語があるとするなら、彼らの物語は紛うかたなく英雄物語です。偉い人にはあまり評価されない不遇さはさておくとしても。
困った事にこの手の戦争漫画を読んでいると模型が作りたくなってきます。
ここ暫く作ってないから、やるとしたらハンドピースの分解洗浄からなんだよな・・・面倒臭さと制作意欲が半々でせめぎあっていて実に煮え切らない気分。
★戦場ロマン・シリーズ 1 凍結戦線 感想
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