小林 源文

タイムスリップものは状況の解説がややこしいので嫌いです。
もともと数学が大の苦手で、パズルも嫌い――己の直感と刹那の閃き(電波受信とも言う)のみを頼りに生きている僕にとっては、複数の要素をロジックに沿って組み上げて状況を把握せねばならない行為というのが苦行でしかありません。
なので、本作品の設定部分に関しては極限まで枝葉を端折って解説します。
22世紀の火星植民地軍の兵士5人が、第二次世界大戦当時の欧州にナチスの原爆開発を阻止する為に送られてくるというもの。ここに色々とパラドックスが仕掛けられてはいるものの、解説がややこしいので割愛。
実際本編の方はパラドックス云々はあまり関係なく楽しめますので。
未来人の出現場所がヨーロッパ反攻作戦開始直後のヴィレル・ボカージュ近辺なので、作者の作風上ミヒャエル・ヴィットマンが登場したのは予想通りですが、「コンバット!」のサンダース軍曹と小隊の仲間達まで出てきたのはワロタ。
こういう遊び心が実に楽しい。
また、未来人たちは当時の人間達や戦争の流儀を野蛮と言っていますが、彼ら未来人の装備するヘルメットには兵士を洗脳してあらゆる命令に従順なロボトミー化する装置が標準装備されていたりとなかなかに毒が利いています。
この辺りは棍棒で殴りあう未開人と、爆弾で都市ごと丸焼きにする現代人とどっちが野蛮だという皮肉にも通じていて、人類の業の深さを感じさせるものがなくもないですね。
おそらく源文漫画の中では一番ギャグの要素が強いかもしれません。
佐藤中村コンビものやウサギのNAM戦ものもそれなりにコミカルではあるのですが、敵味方共に同程度の武器を使用している手前、いつ弾を喰らって死んでもおかしくない緊迫感は常にあります。まして主人公達が歩兵である以上、攻撃ヘリや戦車は絶対的な恐怖の象徴であり、死神そのものである訳なんですが・・・。
この作品の場合未来人たちの装備している光線銃は戦車の装甲すらバターの様に切り裂き、ヤーボの中でも特に理不尽な頑丈さを誇るP-47も簡単に撃墜してしまう反則兵器だけに凄惨な描写をしている筈の戦闘シーンが、どこか現実感の無いB級映画の様なシュールさを強く感じさせます。
この辺、かわいらしい動物を擬人化する事で逆説的に凄惨さを強調しているウサギのNAMものとは好対照ではあります。
と、そういう話は置いといて、何と言ってもSS大佐のケストナーが萌えますねw
H.G.ウェルズのファンである彼は未来人たちを火星からの侵略者と思い込んで(火星から来たという点に関しては間違ってないけど)、何とか捕獲しようと躍起になる訳ですが・・・。
もうやる事成す事全て裏目に出て、最期はヒムラー閣下の不興を買って降格&東部戦線送りと言う涙無しには語れない過酷な運命に。
なお、新装版には書き下ろしで東部戦線に送られたケストナーを描く短編が追加されていますが、哀れすぎて何も言えないww
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