藤森 篤

リノ・エアレースを題材にした正統派スポ根系熱血漫画・・・なのかな。
何を置いてもあらゆる配置がずるい。
登場人物、登場メカ、すべてがずるい。
だってアナタ、エアレース常勝のダゴ・レッド(実在)を倒すべく、かつての日本陸軍エンジニアが経営する町工場を訪れ、陸軍の高速研究機「研三」の復元を依頼するなんて導入部からしてずるいじゃないですか。
しかも依頼主のレースチームオーナーは病弱で余命幾許もない金髪美少女と来た。
なにこの鉄壁過ぎる布陣。
実際には研三と言う機体は評価が大きく分かれていて、高速試験機のくせに時速700キロを超えられなかった点から駄作扱いする意見と、試験環境(高度や燃料のオクタン価)を欧米の高速機と同じ条件に設定すれば充分に世界水準ではないかという意見があります。
実際戦後米軍によって接収され、米国製の点火プラグや高オクタン燃料で性能テストした日本機は軒並みカタログデータ以上の性能をたたき出していますので、後者の意見もうなづけるところはあります。
作中では研三はオリジナルの形状から更に改良が加えられて、震電と足して二で割ったような奇天烈な形状に生まれ変わりますが、これはやりすぎじゃありませんか。
リノ・エアレースは基本的に低高度で行われますから、低空性能に疑問のある無尾翼形状はちょっと無理があるんじゃないですかね。
それにしても基本的にはマニア向け漫画です。
オーナーが可愛いとか、日米の爺さんズがどれも燻し銀の魅力を放っているとかそういう部分に隠れてはいますが、本来の見所はFw190にB-29のエンジンを無理矢理乗っけるとか、そういうエアレース機ならではの魔改造の楽しさ。
しかも絵的にはそこそこ格好良いからたまりません。
まあ、個人的に大好きなスピットファイア・・・それもマリーンではなくグリフォン搭載型が現時点では登場していないのが不満ちゃ不満ですが。
何にせよ航空機、それも大戦機が好きな人種ならば文句なしに楽しめます。
ところで絵にどことなく新谷かおる氏の面影が感じられるのですが、作者はアシ経験があるのでしょうか。
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