自殺島 1 (ジェッツコミックス)
森 恒二

センセーショナルなタイトルに負けること無く、内容の方もなかなか過激な作品です。
敢えて空気を読まない事を言うと、ホーリーランドの作者の作品というのもあって、きっとまた作中で色々怪しげな武勇伝を披露して笑わかしてくれるのではないだろうかという、極めて不謹慎な期待は確かに持ってました。
だから、第一話を読み進めた時点で期待していた武勇伝が見当たらない事にどうしたことだと戸惑いを感じたりもしました。ごめんなさい、そういう作品じゃないんですよね。
それはそれとして、俺は別にこの作品の主人公達みたいな気持になった事はないので、描かれている主人公達の戸惑いや焦燥や絶望に果たしてリアリズムがあるのかどうかは判断できません。
だから、生々しいとか重みがあるとか、そういう類の言葉を使って作品を語ることは出来ませんし、やる気もありません。その辺の事はもっと近い距離で感じることが出来る人に委ねるというか、まあ逃げを打つというか、そんな感じ。
物語としては、増加の一途をたどる自殺者の面倒を見切れなくなった国が、南海の無人島に自殺未遂常習者を島流しして、そこで好き勝手に死んでくれとやらかしちゃうある種のデストピア的作品。
この手の作品は概して何らかの手違いで島に送られてしまった人間や、またはそういう事実があることをどこからか聞きつけたジャーナリストなんかが義侠心でもって立ち向かうという構図を取ることが多い気がするんですが、この作品の特異なところは主人公もまた自殺未遂を繰り返す常習者なので、作品全体に常にサドンデスな緊張感が漂っていたりする訳です。
何時どのタイミングで全滅ENDに持ち込んでも、読者は"自殺志願者達だから仕方ない"と納得してしまいそうな危うさがあり、一瞬たりとも油断ができない。
また、無人島にはかつての島民の家屋や道具類が残されていて、本人たちにその意志と力があればサバイバルが可能というバランス感覚が興味深い。国にとっとと死んでくれという意志があれば、生存の可能性がある島には敢えて送らないような気もするが、そうしたストーリー的な事情ではなく、島を"社会を露悪的なカリカチュアしたもの"として描く上で、敢えてそうしたのかも知れません。生きる意志と行動力を持てば何とか生きられる…それはこの社会にも言えることです。
作者がこの作品を通して描こうとしているであろう、無人島で、そしてこの社会で生きていく上で一番必要なものは何かという問いかけに対しては、多分これだろうという解答は既に予想が付いていますが、今はまだ述べないでしばらく様子を見たいと思います。
たぶんこの作品の読み方は、その回答を予想することではなく、主人公達がそこに辿りつくまでの道程を見守る事だと思いますから。
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