
局所的に話題になってるんで読んでみたですよ。
人間を捕食する巨人の徘徊する世界を舞台に、塀に囲まれた都市で逼塞して生きる人間たちと巨人との戦いを描くファンタジー作品。
とりあえず通読して一番強く感じことは、この作者は絵は決して巧くないが、話の運びは凄く巧いなという事。(と言っても、巧い≠面白いではあります)
また、絵のデッサンが若干崩れているのが、巨人の持つ「人を喰う人形生物」という冒涜的な要素を視覚的な面からも補強していて、もし狙ってやってるとしたらなかなか曲者だと思った。
ストーリー自体は凄くシンプルだし、世界観に関しても人間の最後の領域である城塞都市内部以外はほぼ白紙状態。いわゆる重厚な世界観と言った類のモノとは無縁で、どちらかというとゲームにありがちな一発ネタ的世界と言っても問題ないでしょう。現時点では。
しかし、作品が持つ読ませる力、吸引力みたいなものに関しては驚くほどに強い。
その吸引力の秘密は、各話毎に畳み掛けるように訪れる絶望的な展開にあると思います。
その絶望感たるや、主人公まであっさり巨人に食われてしまう(過去の夢の中で父親に何か薬物を投与されていたシーンがあったので、その伏線を未回収のまま退場とは思いたくないですが)救いの無さで、読者は波状攻撃のように訪れる容赦ない展開の中、一縷の救いを求めてページを繰らざるを得ない心境にされます。
きっと、次のページでは巨人を倒していて欲しい、食われたと思われたあのキャラクターが実は生きていて欲しい、読み切り短編なら為す術無く人類全滅ENDもあり得るでしょうけど、連載作品である以上いつか人類の反攻はある筈で、その時のカタルシスに期待して読み進めている…そんな感じ。
そういう次第で、緻密に構築された世界観や論理的なプロットではなく、情緒的な面で人を引きつける作品だと言えそうです。論理論理と何かにつけて理屈っぽい作品が持て囃される昨今の少年漫画において、その真逆を行く本作品は極めて貴重な存在なのは間違いありません。
感情面にダイレクトに訴えすぎて些かずるいな、とは感じますが、でもやっぱり続きは気になる。
実に巧い。ずるいけど巧い。
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