ブラム学園! アンドソーオン 弐瓶勉作品集 (アフタヌーンKC)

二瓶先生の本はあまり再販がかからないのかどうか知りませんが、この本も欲しいと思いつつ最近まで入手出来ないでいました。
ネットで噂になっていた表題作の「プラム学園!」三部作と、BLAME!の続編と外伝1本ずつ、その他個性的な短編5本で構成された作品集、内容もさることながらオールカラーなのが素晴らしいです。二瓶先生の陰影が強調された絵はモノクロでも充分見応えはあるのですが、カラーになることで更にダークな雰囲気を纏ってのしかかってくる感じですね。
「〜学園!」発表当時をリアルタイムでは知らないので、どの位の反響があったかはネット上に残った当時の記事から推し量るしか無いのですが、現在連載中の『シドニアの騎士』を読んだ上で「〜学園!」に触れると、シュールなギャグや萌えを若干意識した絵作りなどに前作からシドニアに至る過渡期的なものが垣間見る事が出来て、自分の中にある前作とシドニアとの間に横たわる大きな亀裂を充填してくれてなかなかに小気味良い。
発表当時の驚きをリアルタイムで体感出来なかった事は残念ではありますが、体感してなかったからシドニアで更に大きな驚きを感じられた訳ですし、そして今欠けていたパズルのピースがピタピタと埋まっていく快感にも似た感触を得られた訳で、これはこれで周回遅れのみが得られる特権なのかも知れません。
「〜学園!」の話はその程度にしておいて、その他の短編で言うと個人的に一番強く印象に残ったのは「ポンプ」でしょうか。
遥か未来の荒廃した地球に生息する人類の末裔の生態を描いた短編ですが、人類を万物の霊長たらしめていた知性を喪失して食物連鎖の環の中に回帰し、種を存続させるという目的に特化して鮟鱇の様な進化を遂げた姿は、どこか冒涜的でもあり本質的でもある。
そしてなにより20世紀の奇書として名高い『マン・アフターマン』を彷彿とさせるものがあって、あの悪夢的な世界に魅了された経験がある身の上としては心の琴線に触れまくり。
この短編に限らず二瓶先生は「生命」すら工学的に捉えているらしくて、宗教的倫理観など一切気にせず、自然的人工的問わず容赦なく生命を改造する傾向がありますが(シドニアでも光合成でエネルギーを得られる人類や性別の無い人類が登場する)、この路線を突き詰めて二瓶版「マン・アフターマン」の様な本が出たら嬉しいなあと夢想してみたり。
その他の短編だとBLAME!本編の後日談的作品「BLAME!2」や外伝作品「ネットスフィアエンジニア」が本編譲りのダークでスタイリッシュな雰囲気を色濃く受け継いでいて馴染み深いものがありました。
また、学園!の一部や一発ネタの極みとも言える「沼の神」では漫☆画太郎先生かと思ってしまうような絵が導入されていて、しかも二瓶先生の本来の絵柄とやたら親和性が高くて意外な一面が見えた気も。
全編押しなべてクオリティが高く、非常に満足の行く短編集でした。
【漫画の最新記事】




