幸村 誠

今更ながらヴィンランド・サガです。
結構前から周囲の評判は耳にしていたので、いつか読んでみようと思いつつズルズルと来て・・・まあそう言う事です。
物語に関してはもう説明する必要も無いですね。11世紀のヴァイキングの物語。
タイトルになっているヴィン・ランドと言うのは諸説ありますが、おそらくニューファンドランド島の事ではないかと言われています。(別の説によるともっと南の北米大陸本土だとも言います)まあこの辺りに関しては1巻では深く触れられてはいないので、軽く流しておくとして。
第一話からその圧倒的な迫力にすっかり魅了されてしまいました。
緻密にして重厚。躍動感に満ちた作画は戦場のリアリズムをこの上ない形で活写していて、さすがプラネテスの作者だと唸らされます。
しかし個人的に一番強く感じたのは、やはり当時の一般的な人間達の命に対する価値観です。
現代人の感覚からすると恐ろしくドライなもので、目の前で部下や仲間が斃されても感傷的になる事さえほとんどありません。
それは命のやり取りが日常茶飯事である戦士階級の者たちだけでなく、トルフィンの姉の様な一般人にしても同様。
もっとも、現代においても某隣国や十数年前まで存在していた某社会主義連邦、そして60年前の我が国もこの時代の人間に負けない位に命が軽く扱われていた訳ですけども。
そういう背景を踏まえて読んでいると、トルフィンの亡き父トールズの感性は周囲と比べて著しい違和感を感じてしまう位に現代人・・・それも戦後の、良くも悪くも甘い日本人の感性に近い。
それは物語の世界に読者を感情移入させる上で必要な措置なのかも知れませんが、同時にそういう感性を持つ人間にとってこの時代は実に息苦しく過酷な世の中であった事も想像されてしまって、この先の展開に一抹の不安を感じさせています
。要するに鬱展開の予感と言う奴ですね。
トルフィンがヴィン・ランドの大地を踏みしめるのはいつの日か、見守って行きたい作品です。
ヴィンランド・サガ感想一覧
2巻
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