戸土野 正内郎

なんという宇宙の戦士。
作者自身本編内で何度も触れていますので、今更言うまでも無いかもしれませんが、ハインラインの代表的な小説を思いっきりリスペクトした内容となっています。
それは巨大な虫型の敵と、機械の鎧を纏った兵士との戦いという表面的な部分はもちろん、作品の底流を流れる全体主義的思想に対するアイロニー部分まで。
思えばハインライン氏の代表作である「宇宙の戦士」があまりにも軍国主義賛美、全体主義賛美な世界観を持っていたためか、まるで作者自身そういう思想の人かと思われている節がありますが、私見ではあれは作者なりの壮大な皮肉であり一種のディストピアだと感じています。氏の他の著作を読む限り、全体としてはリベラル左派に位置する思想の持ち主である気がするんですよね。
ですから、「宇宙の戦士」をモチーフにした場合、その辺りををどう理解しているのかと言う部分が一番の肝となります。単に軍国マンセー、右翼カコイイと描いているならば完全なミスリードであり、作者に対して失礼なリスペクト例となる訳ですが・・・。
結論から言うと、1巻を読む限りでは上手く取り入れているな、と感じました。
特に、優れた兵士になる為には人体改造を厭わない風潮や、主人公達強化外骨格兵装を保有する外征部隊の正式組織名が「侍所」という時代がかったものである点、そして本部を幕府と呼んでいるなどの、極めて"スレスレ"な部分は見事だと思います。
1巻は訓練シーンがメインで、あくまで各登場人物の顔見世的な展開なのでまた何とも言えませんが、設定部分のディストピアぶりをもっと本編にも盛り込んでくれたら嬉しいのになあ。
作戦が失敗したら皆でハラキリしまくるとか、そういうノリを極めて真剣に描いてくれたりすると神作品認定しても良いです(笑)。
まあそれ以前に一刻も早くシャヘルとの戦闘を見たい訳なんですけどね。
続巻も近いうちに買って来よう。
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