畠山 弘康

ドイツ軍の対戦車自走砲をメインに据えた戦記漫画。
全体的な絵の雰囲気は小林源文調ですが、これはもう陸戦漫画の世界ではある意味スタンダードな絵柄と化している気もするので敢えて突っ込まない。
うーん、この手の対戦車自走砲に代表される二線級(かなり語弊アリ)兵器をメインに据えた漫画、昔どこかで読んだ記憶が・・・。
タイトルなどは失念していますが、ゴロドクとか言うロシアの戦車兵とハーゲンというドイツ軍砲兵がばんばん撃ちあって、毎回最後はゴロドクが畜生ハーゲン覚えてろ!みたいな捨て台詞と共に逃げていくというコミカルな内容だったと記憶しています。
確かゴロドクは大戦を生き延び、彼の息子はソ連軍の将軍になって第三次世界大戦を戦い、さらにその遠い子孫は同じくハーゲンの遠い子孫と共にタイムパトロールをやっている・・・という感じだった様な。
記憶が曖昧なんで自信無いですが。
対戦車自走砲というは古くなった戦車をリサイクルした兵器で、戦車の砲塔を取り外して開いたスペースに対戦車砲を乗せ、砲の周囲を申し訳程度の(小銃弾や砲弾の破片を防げる程度の)鉄板で囲っただけの実に簡素なシロモノです。
シャーシの限界上大きな砲塔を乗せる事が出来ないなら砲だけ乗せてしまえという様な感じで、攻撃力こそ一級ながら防御力はきわめて低く、砲塔ではないので旋回できない(照準は車体ごと敵に向けて行う)と言う欠点があります。
そういう事なので、主な使用法は身を隠しての待ち伏せ攻撃と言うこの上なく地味なものにならざるを得ません。
こんな地味な兵器で果たして漫画としての見栄えは大丈夫なのか・・・、下手したら自走砲が戦車と対等に機動戦を行うようなファンタジックな漫画なりはしないか・・・、という心配はありましたが、対戦相手にこれまた微妙かつ地味なソ連軍の対戦車自走砲や河川砲艦、米軍の装輪装甲車などを据える事で上手くバランスを取っています。
個人的にツボだったのは、カイラー編の最終話である「BURNING ROAD」で、前半こそマーダー対戦車自走砲に乗っていますが、後半はドイツの対戦車自走砲の中では最弱クラスの4.7cm Pak(t) auf PzKpfw 35R(f)に乗って米軍の37ミリ砲搭載型の装甲車と戦う事になると言う実に最終話らしからぬショボショボ展開w
普通なら最終回でそれまでの乗機が破壊されたら、ここぞとばかりにナースホルンなりシュタールエミールなりの強力な車両に乗り換えるものですが、4.7cm Pak(t) auf PzKpfw 35R(f)。

ナースホルン

4.7cm Pak(t) auf PzKpfw 35R(f)
※双方人の大きさを目安に縮尺を合わせています※
こ れ は ひ ど い 。
でも、こういうひどさは好き。
この展開で一気に作品に対する評価が急上昇しましたw
あと巻末の日本軍モノ漫画は、米軍の食料を強奪すべく戦車で突撃する話が痛快。
突撃だ玉砕だと息巻く偉いさんを巧く騙して弾薬と燃料を手に入れ、目指すは米軍陣地(の、食料貯蔵庫)。
妙な精神論や胡散臭いスローガンを鼻で笑い飛ばすかのごとくの展開に燃えました。
こういう活き活きとした兵士が出てくる日本軍漫画は本当に貴重ですよね。
太平洋戦争当時の日本人はみんな愛国心に燃えて御国と天皇陛下の為に喜んで死んで行ったとか、その手のプロパガンダにはいい加減ウンザリ来ていますので・・・。
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